湯シャンはやっぱり臭います

シャンプーを使わずにお湯だけで髪を洗っても十分汚れは落ちるし臭わない、毎日シャンプーしていて1日しないと臭うのは、逆にシャンプーで皮脂が過剰に出るようになっているからだ、ということで湯シャンが流行したことがありました。

年齢や気候にもよると思うのですが、私は実体験から、この「臭わない」ということについては異を唱えたいと思います。

ベルファストは夏の一番暑い日で最高23度程度なので、あまり汗をかきません。そこで、もともと汗をかきにくい体質の乾燥肌の私も湯シャンを試してみたことがあります。最初は1日おきで徐々に・・・。シャンプーを使わないかわりにDENMANのシャンプー用ブラシを使用して、頭皮を重点的に10分くらいかけて念入りにお湯で洗います。

結果、最初は気持ち悪かったのですが、フケが出るとか髪がベタベタになるということもなく、髪の毛は天然の皮脂でつねにコーティングしている状態なので見た目はつやつやになり、人に「きれいな髪!」とほめられるように。アホ毛も非常に良くなりました。耳の後ろがかさかさすることもなくなりいいことづくめでした。

当時一緒に住んでいた元夫にも頻繁に匂いをチェックしてもらっていましたが、頭皮に鼻を近づけても全く臭わないと。最初は週に1回くらいシャンプーしていましたが最終的には1か月に1回くらいに。夏に日本に帰るととてもそんなことは言っていられなくなりすぐにシャンプーしましたが、ベルファストに戻って再開。

が・・・9月末頃暑いスペインを旅行するとちょっとつらくなり始め、10月半ばに実家に帰ると母がしきりに「あんたの部屋から浮浪者のような臭いがする。日に日にひどくなっていく」と。そこで数日後シャンプーしたところ母が「あれ、よくなった。でもまだ臭う」と。髪の毛を直接かいでもらうと「そう!!!このにおい!!」。結局3日くらいシャンプーしてやっと匂いが完全に取れたようです。

いくら念入りに洗っても、30代で1か月に1回のシャンプーではやはり臭うのです。こうしてのべ1年ほどの湯シャン生活は終焉を迎えました。

臭いというのはなかなか指摘しづらいですし、ベルファストではそこまで人付き合いもしておらず、現地の人も毎日はお風呂にはいらない人が多く、匂いがきつい人が多かったので余計言われる機会がなかったのでしょう。匂いに敏感な元夫が何も感じなかったのは、毎日少しずつ臭くなっていたからだと思います。

なので、よく一緒にいる人に臭くないと言われても、信用しないほうが良いと思います。湯シャンは少なくとも日本の秋くらいの皮脂では十分においます。湯シャンしていて臭わないと言われたとしても、周囲が気を使っているか、周囲も麻痺している可能性が十分にあります。

また、鈍感な方はかなり臭っていてもきづかないことがあります。私の知り合いに自然派な生き方を好む人がいて、湯シャンをしているのか、石鹸をつかっていないのか、いつも浮浪者のような臭いがしています。湯シャンをとっくにやめていた私と元夫は臭いでいつも倒れそうになっていたのですが、別の方は「たまにわかるがあまり気にならない」と。たまたまその臭う方がその別の方に自分の体臭について尋ねても、「臭くない」と言われたことでしょう。ですから一人が臭くないと言ってもあてになりません。

その方の臭いに悩んでいる私も、本人に「体臭する?」と聞かれたとして本当のことを言えるかどうか・・・。その臭いのする方は彼女ができないことや、客商売がうまくいかないことを悩んでいたのですが、私は「性格いいのだから臭いだけ変えれば!」と言いたくて言えない状態がもう3年以上続いています。

ついでにいうと石鹸で体を洗わないというのも微妙です。湯シャンより後に元夫のみ「入浴はするが石鹸は使わない」を実践しはじめたのですが、元夫はやはり実家で散々にいわれ、最終的に「お前が風呂に入った後が臭くてたまらないから勘弁してくれ」と。それでも元夫は「臭わないはず!」とがんばっていたのですが、試着した洋服を返品したところ販売店から「匂いが付いていたのでこれからは気をつけてください」という連絡が。ここで元夫も観念して体を洗うようになりました。

風呂にほとんど入らないことを公言している某老作家と同じ分譲マンションに住んでいる私の知り合いは「あの夫婦がこの道を歩いていた、ということは50m後ろでもわかる。家からも臭気が漏れ出していて、隣も耐えかえて引っ越してしまった。せっかく購入した高級マンションなのに・・・風呂に入る入らないは個人だけの問題ではない、公害と同じ!と怒っていました。

この方をはじめ著名人に「湯シャンや石鹸なし入浴では臭わない」という方が何人かいるのですが、すでに地位のある方やある程度年齢のいっている方に「臭わないでしょ」と言われて「いえ臭いますよ」と答えられる方が何人いるでしょうか。私も、何年も付き合いのある知り合いにさえ言えないのです。そして、忌憚なく指摘できる家族が同じことを実践していたり、毎日一緒にいて鼻が麻痺していたとしたら・・・。

結局は周囲との比較なので、お風呂に毎日入る習慣がない国で同じように暮らした場合、臭いは問題にならないでしょう。日本でも、誰もがほとんど入浴しなかった平安時代なら気にならないのかもしれません。登山の場合、何日もお風呂に入らないで汗だくになることになりますが、同じチームの人も同じなので、仲間内では気づかれないでしょう。しかし毎日シャンプーで洗髪し石鹸で体を洗う人ばかりの高温多湿な日本で、洗浄剤なしの入浴を何日も続けるのは無理があると思います。

恥をしのんで書きました。湯シャンや石鹸なし入浴に挑戦する方が一人でも減ってくれたら嬉しいです。

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